些末なこと

何の役にも立ちません

アルバムをつくっていること

プロアマ問わず、ジャンルを問わず、何かをつくっているひとの過程や制作日記やセルフライナーノーツなどを読むのがとても好きなのだけど、自分がやるとなるととてもおこがましくてなかなか書けない。そんなことしている時間があったらコード理論の本を読め、音楽を聴け、ミックスの勉強をしろと思う。けど、一応備忘録に少し書いておこうと思いたち、いつぶりかにここを開いた。

いま、春に向けてアルバム(と書くのも気が引ける…。そんな大層なものではなくて小曲集だ)をつくっている。全体のテーマを決めて、きりがいいから10曲入りと決めて、とても好きな絵を描かれる方にアートワークをお願いした。
Excelで曲名、BPM、調、拍子、長さ、歌入りかインストか、ドラム入りかなしか、曲調など一覧にする。調や拍子などはなるべくばらけさせたい。声の音域が異様に狭いのでキーは似たり寄ったりになるし、今回は4拍子の気分らしく4拍子ばかりになったけど。
Wordにはすべての曲の歌詞を並べてみる。手癖のように同じ言葉を何度も使ってしまうので。歌詞はスケッチブックに鉛筆で線を引いたり言葉を足したり引いたりしながら書いているけど、手書きだった時には気づかなかった違和感にも気づけたりする。
できた曲は、調整途中でもiPhoneにプレイリストにして入れて決めた曲順通りに繋げて聴いたり、聴き比べたりする。あまり聴くと飽きるので(既にちょっと飽きてる)、そこそこにする。

色々並行しながらつくって、過去のものや共作していただいた曲も入れて、今8曲ちょっとくらいまできた。今までで一番丁寧につくれていると思う。上手い人の曲を聴くと自分の稚拙さに打ちのめされるけれど、それは少しずつ努力していくとして、比較対象は過去の自分でいい。というわけでもう少しがんばります。
よく、イントロは短くとかお洒落コードが云々などのツイートを見かけるけど、仕事でやっているのではないのだから誰かに寄せる必要もなければメインストリームに乗ろうとする意味も皆無で、ただただつくりたいものをつくればいい。そうやってつくれるのって、なんて自由でなんて幸せなんだろう。本当はごく当たり前のことなのに、先日改めてぽろっと口にしたとき、目に見えない縛りみたいなものから解放された気になった。気乗りしなければやらなければいいし。そういえば映画『メインストリーム』で冒頭、何もないのに何かを発信したい女の子が言われる「そんなに赤の他人に承認されたいのか?」という台詞好きだった。
最近少し思ったのが、何かを溺愛しすぎたり目標とする人物を明確に決めすぎたりすると進み続けるのが難しくなるのではということ。曖昧で、行き当たりばったりで、雑多に色々なものが好きで、嫌いなものもたくさんあるけど、長く楽しむならそんな感じでいいんじゃないかなあと。

あと、何かの曲をつくろうとピアノを弾いていた時、ふと数年前に愛知で行ったアアルト展の様子がばーっと蘇った。パイミオのサナトリウムとか、木立の写真とか。あの静謐さやきーんと冷えた感じを音に落としこめたらどんなにいいだろう。それが出来たか否かは別として、作品そのものだけじゃなく展示の空間もインプットになるんだなあと思った。