些末なこと

何の役にも立ちません

好きだった人のこと

大昔好きだった人はとても気が強かった。声が大きかった。ギターの音も大きかった。本当は繊細だった。あと酒に飲まれる人だった。一緒にごはんを食べたとき、お店で出てきた料理に「まっず」と言ったのを聞いて、一瞬にして醒めた。靄が晴れていくみたいに。その時も彼はだいぶ酔っていたけど、「不味い」と口に出す人は苦手だ。こう書いててもその人のどこが好きだったのかよくわからない。
「非難はコンプレックスの裏返しだよ」とも言われた。言われた状況は忘れたけれど、たぶん何かを揶揄していたわたしに釘を刺したのだったと思う。

誰かが誰かの言動をあげつらっているとき、一番にそれを思い出す(もちろん差別発言とか犯罪行為のような明らかな悪事に対しては別)。自分がクリアしている内容や、そもそもまったく興味がなければわざわざあれこれ言わないだろう。癇に障るのは自分が気にしていることだからだ。それどころか、傍から見ると非難する側の人も同じ穴の狢では?と思えてしまうこともある。
何か非難したくなったり引っかかったりするときは、いったん飲み込んでそこに自分の負の部分や乗り越えたい何かを俯瞰できたらいいんだろうと思う。というのはあくまで理想で、そうそう冷静にはなれないのでもやもやしたら身近な人に吐き出させてもらったりしています。