些末なこと

何の役にも立ちません

好きな花屋のこと

近所にある花屋さんがとても好きだ。青緑の壁の、数坪の狭いスペースいっぱいに生花やドライフラワーや花器が並んでいる。そのひとつひとつを、店主がこだわりをもって選んだりつくったりしているのがよく分かる。どれも少しくすんでいて、さりげなくて、魅力的だから。
店主はやや不愛想で華奢な四十代くらいの可愛い女性で、一人で切り盛りしているらしい。朝、よく車から花をお店に一人で運びこんでいるし、他のスタッフを見かけたことはない。仕入れやラッピングやインテリアなど店の隅々までたったひとりですべてを差配するのは、凄いなあと思うし、そんな仕事をできることが少し羨ましくもある。
何年か前に一度花を買ったとき、その店主にとてもつっけんどんな態度を取られて、もう二度と行かないと思った。でも品揃えは近隣のお店のどこよりも素敵なので、少し経ってやっぱり行ってしまった。びくびくしながら花を買ったら、店主は素っ気ないながらも気持ちの良い対応をしてくれて拍子抜けした。そのあともそんな感じなので、多分数年前のあの時は体調が悪かったとか、虫の居所が悪かったとかだったんだろう。あの一回で通うのをやめなくて良かった。
今日はドライフラワーのリースを買ってきた。プレゼント用に、美しく包んでくれた。贈り物にしないでこのまま欲しくなってしまう。

つつかれただけで涙が出そうなくらい参っているけれど、どうにかごまかして夜が来るのを待つ。暗くなるとほっとする。こうして言葉にしてしまうと泣ける。そうやって憂鬱を少し放出する。